【Vol.20】ソーシャルゲーム業界の方向性とは?


先日、ソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会に参加している6社「NHN Japan(株)」、「グリー(株)」、「(株)サイバーエージェント」、「(株)ディー・エヌ・エー」、「(株)ドワンゴ」、「(株)ミクシィ」が、『コンプガチャ(コンプリートガチャ)』の廃止を表明しました。



『コンプガチャ』とは、アバターやゲームで、アイテムやカードを出現させる際、1回100~300円といったガチャガチャの要素と、これを数種類揃えないと、レアアイテムやレアカードが入手できないというコンプリート要素を組み合わせた仕組みのことを指します。

『コンプガチャ』は、各社の収益源だっただけに、業績悪化を懸念して株価が大きく下落する事態となっています。



今回のMBAホルダーの視点では、「問題解決」「経営戦略論」といったスキルを活用しながら、ソーシャルゲーム業界で何が起きているのかを分析して、業界の今後を考えてみたいと思います。



まずは、ゲーム業界の市場規模を見てみましょう。


国内のコンシューマーゲーム市場(家庭用ゲーム)規模は、近年、減少傾向にあります。

2006年:6258億円(ハード:2619億円/ソフト:3639億円)
2008年:5826億円(ハード:2505億円/ソフト:3321億円)
2010年:4938億円(ハード:1756億円/ソフト:3182億円)
2011年:4544億円(ハード:1797億円/ソフト:2746億円)


その一方、ソーシャルゲーム市場規模は、急拡大しています。

2008年: 49億円
2009年: 371億円
2010年:1400億円
2011年:2570億円


2012年は、任天堂(株)が初の営業赤字を計上する中で、ソーシャルゲーム市場規模は、3429億円(予想)とされており、本年度中にはコンシューマーゲームのソフトウェア市場を上回ると見られています。


その収益を上げる際に大きく貢献していたのが『コンプガチャ』なのです。それでは、『コンプガチャ』の何が問題として指摘されているのでしょうか。

それは、『コンプガチャ』が消費者庁が景品表示法で禁じている「カード合わせ」に該当する可能性がある点です。実際は「カード合わせ」に該当するのかどうか調査開始が報じられているうちに「自主的に廃止する」という今回の発表がなされました。それが、様々な憶測をよぶことになっています。

他にも、4月末から、(株)サイバーエージェントが運営する『アメーバピグ』が18歳未満の利用を実質的に規制するなど、ソーシャルゲーム業界では、未成年保護策を強化する動きが広まっています。



このような混乱が起きている要因としては、日本のソーシャルゲーム市場が急速に立ち上がった為に


(1)未成年者保護の問題
(2)射幸心(しゃこうしん)を煽る問題
   ※射幸心=可能性の少ない偶然の成功や、利益を願う気持ち
(3)RMT(リアルマネートレーディング)の問題


といった基本的な対応について、社会の認識と、企業側の不慣れな対応が引き起こした問題と見る事ができます。


これらの問題となったソーシャルゲームは、いずれも10~30歳代の若いユーザーが多く利用していることから、未成年者保護と射幸心へ問題対象が絞られています。今後、別のユーザー層が利用するゲームについても、RMTに該当する事例が騒動を起こすかもしれません。


一方、世界のソーシャルゲーム業界を牽引している米国シリコンバレーでは、すでにこうした問題に対して、様々な規制やルールが運用されていますので、日本のソーシャルゲーム業界は次の成長ステージに向けて、問題の棚卸が必要なのかも知れません。


さて、規制やルール作りにおいて、最も難しいのは、射幸心への対応です。
射幸心とゲームの面白さは紙一重の関係にあり、射幸心を煽らないゲームは面白くないとも言えるので、その煽り加減が難しいところでしょう。


コンシューマーゲームの雄である任天堂は、古くから花札を販売している企業ですが、「カード合わせ」行為も花札に通じるものがあり、射幸心のコントロールに対しては、最も経験が豊かと思われます。ですから、今後登場するであろう様々なゲームに対して、アドバイス/チェック/ルール作りが出来る立場にあるとも言えるのではないでしょうか。

例えば、ソーシャルゲームプラットフォーム連絡協議会が自主規制を策定する場合、ユーザーや関係者の納得を得にくいと予想されますから、任天堂を第三者として招いてのガイドライン作りが有効になるでしょう。


今回、消費者庁の意向や動きに呼応した素早い対応は評価できますが、逃げ足が速いと見られてしまいます。政治問題化する前に、関係省庁との関係構築と、ガイドライン作りに警察庁(国家安全委員会)の確認を得るなどしながら、成長に急ブレーキが踏まれないようにするリスク回避が必要です。

そのためには、怪しいグレーゾーンを踏みながら、いざとなったら逃げを打つのではなく、世界のソーシャルゲーム業界を牽引しているシリコンバレーに習い、ゲームの質的レベル向上と、社会的企業としての健全性を目指すべきでしょう。



さて、皆様が、ソーシャルゲーム企業の社長だったら、どの様にして今回の問題に対応しますか?




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【Vol.19】 尖閣諸島問題への打開策とは?

先月、東京都知事:石原 慎太郎 氏が、尖閣諸島の購入計画を発表しました。これに対して、様々な意見や反応が噴出。世間を賑わせていますが、日本政府としては、どのような対応策を取ることが考えられるのでしょうか?



今回のMBAホルダーの視点では、この尖閣諸島問題について、経営戦略論などの視点から考えてみたいと思います。



まずは、尖閣諸島(The Pinnacle Islands)の基礎情報を確認しておきましょう。

1971年から中国と台湾が領有権を主張している尖閣諸島は、沖縄県石垣市に属し、いくつかの島と岩礁から成ります。今回、購入計画の対象となっているのは、個人が所有する3つの島(◆印)です。


【5つの島】
◆ 魚釣島(うおつりしま):3.82平方キロメートル(個人が所有)(灯台あり)
○ 久場島(くばしま):1.55平方キロメートル(個人の妹が所有)
  ・北西小島/北小島/北東小島を含む
○ 大正島(たいしょうとう):0.06平方キロメートル(国有地:財務省)
  ・北小島を含む
◆ 北小島(きたこじま):0.31平方キロメートル(個人が所有)(灯台あり)
◆ 南小島(みなみこじま):0.40平方キロメートル(個人が所有)

【3つの岩礁】
○ 沖北岩(おきのきたいわ):0.05平方キロメートル(所有者なし)
○ 沖南岩(おきのみなみいわ):0.01平方キロメートル(所有者なし)
○ 飛瀬(とびせ):0.01平方キロメートル(所有者なし)


現在、これらの個人所有の島は、国が年間2450万円の賃貸料で借りています。現在の契約期間は、2013年3月末迄なので、東京都は来年4月からの購入を計画しているようです。試算によると、購入金額は約15億円と言われており、都議会での承認がハードルとなります。



次に、尖閣諸島の歴史の中での取り上げられ方を見てみましょう。

中国(清朝時代)の渡航記録に「釣魚台」との記載や、日本の1783年出版地図に中国領との記載がありました。1885年に日本が現地調査を開始し、1895年に領土編入が閣議決定。1932年、鰹節工場を建設した 古賀辰四郎 氏に政府が貸与し、やがて払い下げられています。

第二次世界大戦後は、米国の管理下に置かれ、沖縄返還と同時に返還された後、古賀家から現在の所有者へ譲渡されました。

中国と台湾が領有権を主張し始めたのは、尖閣諸島周辺に、イラクの推定埋蔵量に匹敵する1000億バレルの石油資源が埋蔵されている可能性があると発表された以降からです。

その後、中国/台湾/日本が領有権を巡って、抗議行動と防衛が繰り広げられてきましたが、1972年:日中国交正常化交渉の中で、田中角栄 総理大臣と 周恩来国務院総理との首相会談の中で、この問題が棚上げされました。

しかし、領有権を巡って、過激行動と防衛が繰り返され、1992年に中国の国内法に自国領と記載され、2002年に台湾の 李登輝 元台湾総統 が日本の領土であると言明し、2004年に米国が有事の際は日米安全保障条約が適用されると表明するといった経緯がありました。


そのような中、2010年9月7日に尖閣諸島で中国漁船衝突事件が起き、日本側が国内法に基づく手続きを踏んだ事で、中国側は棚上げ論が反故にされたと解釈して、一気に政治問題へと浮上したのです。


国の対応に業を煮やした東京都が動き出したのは、5月半ばに予定されている、尖閣事件の再発防止策を協議する「日中海洋協議」に揺さぶりを掛ける目的であるとも指摘されています。



BBT大学院の学長 大前研一は、領土問題では、

(1)実効支配している方が強い。
(2)正論を持ち出して主張しても、領土問題は解決しない。
(3)歴史的に見て、最後は武力で奪い取る・守るしかない。

という考え方を示していますが、それでは、日本政府として、どのような対応を取れば良いのでしょうか?



以下の3つに論点を分けて考察してみましょう。


◆石油利権◆

石油資源の埋蔵量は、その後の調査で、32.6億バレルとも、60~70億バレルとも、かなり少ないという見方が出ています。そのため、国際機関を交えての再調査が必要となるでしょう。

また、実際に、パイプラインを引く場合、最も近い都市は、台湾・基隆市(170km)、中国・温州市(330km)に対して、那覇市(410km)、鹿児島(1000km)と遠く、日本では採算が取れない状況です。

これらのことを考えると、石油利権目的は、埋蔵量によっては、立ち消えになるか、実施するとしても台湾と合弁企業を組む方が有利と言えそうです。例えば、日本が石油利権と採掘技術を台湾に譲渡して、台湾が採掘して余剰分を中国に出荷し、中国は見返り相当分の天然資源(レアアース等)を日本へ譲り渡すといった方法なども考えられます。


◆領有権◆

各国が主張している権利とは、厳密には、領有権/所有権/行政権に分かれますので、切り分けて考えてるべきでしょう。

米国が沖縄返還時に日本に戻したのは、厳密には、行政権とされています。これは、米国が、領有権については、いずれの国に対しても不介入の姿勢を貫いている為です。その理由とは、島の領有権争いの巻き添えにならない方が良いという判断のようです。つまり、領有権とは、そもそも解決しにくい問題
であるとも言えます。

また、所有権について見ると、所有者がいない3つの岩礁が狙われる可能性があります。早々に国の所有を取り決めて、「沖ノ鳥島」の様に、何らかの経済活動を進めるべきでしょう。


◆棚上げ論◆

民主党政権になって、外交政策をつまずかせた「密約の存在」ですが、これは、中国側との調整後、内容を明かして混乱を避けなければなりません。

当初、政権交代に伴う嫌がらせと不勉強があったかも知れませんが、情報が広まり、国益を損なう以上、元の状態に戻すべきでしょう。

あるいは、領有権/所有権/行政権を日本のものと認め、天然資源の利権は分け合い、資源交換サイクルに持ち込むといった交渉を進めるべきでしょう。


これら、領土問題には、さまざまな権利が絡んでいるので、交通整理しながら打開策を切り分けて講じる必要性を感じます。


さて、皆様が日本国政府の立場ならば、どのような打開策を考えますか?





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日経BPnet 【時評コラム】大前研一『産業突然死』時代の人生論

ご案内が遅れてしまいましたが、2012年4月16日(月)に日経BPnet【時評コラム】『産業突然死』時代の人生論にて、新しく記事が掲載されましたのでご案内いたします。


日経BPnet 【時評コラム】大前研一『産業突然死』時代の人生論

「医療費の高騰で財政はもたない。「病気」を定義し、高齢者も応分の負担を」
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【Vol.18】 『NOTTV』を成功させる方法とは?

この4月1日に『NOTTV』が開局しました。『NOTTV』のサービスとは、(株)エヌ・ティ・ティ・ドコモの子会社である(株)mmbiが、初の「モバキャス(携帯端末向けマルチメディア放送)」として、ドコモ端末(スマートフォンやタブレット)向けに、リアルタイム&蓄積型コンテンツを配信するものです。



「AKB48」を前面に打ち出した宣伝やコンテンツなどで注目を集め、


【 初年度:100万人 → 2015年:600万人 → 将来:1000万人 】


の加入者数を目指すと発表していますが、現状の方法でそれを実現することができるのでしょうか。



『NOTTV』の現状や指摘されている問題点、活かせる強みを整理しながら『NOTTV』を成功させるために必要な方法を検討してみたいと思います。



まずは、指摘されている問題点を整理してみましょう。


(1)視聴できる端末が現在2機種のみ(夏以降から対応機種増)
(2)モニター機のソフト不具合(視聴できない)
(3)電池消耗が激しい(充電しながらでも電池が減る)
(4)受信エリアが関東・東海・関西・九州・沖縄に限られる
(5)屋内での視聴が困難
(6)月額420円の基本料金が掛かる
(7)コンテンツが偏っている

といった点が指摘されています。


しかし、これらはサービス開始時にありがちな、技術的/サービス体制の課題であり、時間と共に解決されるので、本質的問題ではないと言えるでしょう。それでは、本質的な問題は何なのでしょうか?



『NOTTV』の本質的問題点を探るにあたり、背景となるモバキャス誕生の経緯から確認してみたいと思います。


2011年7月24日:地上アナログ波のテレビ放送が停波しました(岩手・宮城・福島は2012年3月31日に停波)。この理由とは、携帯電話用の電波がひっ迫していること挙げられます。その解決のために、アナログテレビ放送をデジタル化して周波数帯を移動し、空いたテレビ用の周波数帯の一部を携帯電話用に、一部をモバキャス用に割り当てようという計画でした。

この計画の中で政府としては、(1)電波利用料の収益を増やす、(2)地デジ化対応という経済的な効果(約15兆1540億円の効果があったという試算もあります)を狙っていました。


電波利用料については総務省によると、2010年度の電波利用料の歳入額は、677億円となっています。その内訳は、テレビ局からの歳入24億円(3.5%相当)に対し、携帯電話会社等からの歳入552億円(81.5%相当)がほとんどを占めています。携帯電話の電波利用料は、1993年:600円/台→2008年:250円/台と値下げ
が進められてきましたが、携帯電話の台数増加などにより携帯電話分の歳入額は、1993年:0億円 → 2010年:552億円へと大きく増えました。今後も増加していくことが見込まれます。

こうした電波行政の中から生まれてきたのが、モバキャス『NOTTV』なのです。



(株)mmbiは、2009年の設立後、わずか3年間でハードウェアやシステムを立ち上げました。なぜ、ドコモは、『NOTTV』のスタートを急いだのでしょうか。


折しも、今年は、アップルから「新型iPad」「Apple TV」「新型iPhone」などといったコンテンツとデバイスをセットにしたモデル展開が出揃う年でもあります。つまり、ドコモが日本のメーカーを代表して、アップルとの対抗軸を打ち出すべく登場させたのが、モバキャス『NOTTV』なのでしょう。


これらの様々な背景から登場した『NOTTV』が抱える本質的課題とは、拙速な展開から、技術/コンテンツ/マーケティングなど本来一本の流れになっているべきものが、ちぐはぐになってしまっている点になるのではないでしょうか。



では、『NOTTV』の加入者を増加させて、放送を活性化させる為には、どの様な対策が必要なのでしょうか。いくつか視点を分けて考えてみます。



■配信方法

『NOTTV』はアナログTV用だったVHF帯周波数と、携帯電話のIPパケット通信を併用していますが、屋内視聴が難しい点から、インターネット配信も併用した方が良いでしょう。これによって、トラフィック分散と、データ通信料を抑える効果も期待できます。さらには、既存のアナログテレビ放送設備を活用すれば、比較的早く、視聴地域を全国に広める事も出来ると思われます。


■コンテンツ

『NOTTV』の蓄積型コンテンツという特徴を活かせば、サービス内容にある映画/ドラマ/漫画/小説/音楽/ゲームだけでなく、既存の放送局が持つアーカイブ/各種資料などを、カーナビや新幹線などに流す事も出来そうです。

また、モバキャスのコンテンツは、作り置きできる、何度も視聴できる、24時間放送対応が不要という点から、小さな放送局に向いています。例えば、地域の観光協会や自治体など、訪れた観光客向けにコンテンツを用意すれば、既存の広告媒体よりも効果が期待できるでしょう。地域住民に対しては、チラシ広告/コミュニティ情報など、より小さな単位での放送が可能となります。



以上より、『NOTTV』は、都市部のニッチ層を対象にしたエンターテイメント系のコンテンツ発信メディアよりも、地方や地域からの情報発信に向いていると言えそうです。『NOTTV』の成功には、おそらくこういった視点も不可欠なのではないでしょうか。


さて、皆さんは、『NOTTV』について、どの様な発展シナリオを描きますか?





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